異世界の世界

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鍛冶職人として、現状の鉄騎兵に対抗出来る武具を作れない事で、悔しさで唇を嚙む日々を送っていた。 拠点の中で、武具の修復を行っていた際、誰一人文句を言わずに自分達が作った武具を持って行くのだが、武具を持つ手は震えていた…… それは、我々が作った武具が彼等を守っていない事を伝え……彼等を恐怖から守れずに怯えさせて戦場に行かせて、そのまま…… 「早速で申し訳ありませんが、工程方を教えて頂ければ、すぐにでも全工程を変えてでも、お作り致します」 やっとだ……やっと、戦場にいった者達が恐怖に抱かれたまま、この世から消えて逝かないで済む。 親方は、礼人を設計室に連れて行って、そこで根掘り葉掘り聞こうとしたが、 「すみません。作るというのは語弊(ごへい)でしたね……リーフさんが持っている剣を作って貰いたいんです」 「アソリティの剣ですか?」 「そうです。あれはマナを蓄える事が出来る剣ですよね。それに私の力を込めるんです」 「……分かりました。ちなみに一人でされるのですか?」 期待していたのとは違っていたが、それでも、みんなが嬉々として喜んでいたのを思い出すと、その一端に自分も関われる事を喜ぶべきなのだろう。
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