異世界の世界

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そうだった。 自分が力を使えるから忘れていたが、 「ありがとうございます。大切に使います」 あの異次元の中で落としてしまったのか、刀と弓矢を紛失してしまっていた。 「これって、普通に剣として使っても?」 「もちろん大丈夫です。なんなら、そんじょそこらの剣よりも強固なので、リザードマンにも一撃を与えられます」 「それは凄いです」 親方のお墨付きの剣。 それに自分の力を合わせた状態なら、いくら屈強なリザードマンでも堪らないはず。 堪らないはずなのだが、一つ問題があるとすれば、 (リザードマンを殺すか……) 間接的にしたとはいえ、直接的にはリザードマンを殺してはいないこと。 ここにいる以上は、いつかは自分もリザードマンや、リミィは新興した国のエルフやオーク達と殺し合いをしなくてはならないのは、覚悟を決めなければならない事。 (…だとしたら、刀を無くしたのは運命なのかもしれない……) 誰かを守る為の刀を無くして、殺し合う為の剣を手にしたのは、礼人のこれからの運命を暗示しているからかもしれない。
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