15人が本棚に入れています
本棚に追加
「お似合いでございます」
新たな剣。
手にした瞬間に分かる刀とは違う重みが、人殺しの重圧が手に取る形で感じられて、心臓が締め付けられる。
手にしている罪の重さ……それを抱えきれるかどうかは分からないが、それでも、
「この剣に見合うだけの腕を付けてみせます」
今はこの剣を作ってくれた事に感謝して、笑顔で応える事が出来る。
礼人は渡された剣を背中にしょい込むと、
「それでは、出発しましょう」
リーフが籠の方へと促しくれる。
「ご武運を」
「この街の人々の為に行って来ます」
行く者と待つ者での最後の会話が終わり、これから籠に乗り込んで戦場へ赴くと所で、
「行ってっらしゃい!!」
「アフレクションネクロマンサー様!!みんなをお導き下さい!!」
出立を見守る人達からの声援が送られる。
老若男女関係無しに大人から子供まで、ドワーフもエルフの女性もサキュバスも……みんなみんなが精一杯に声援を送ってくれる。
続く戦場で貧困になり、時間も無かった彼等に出立前の、見送りの祭りを開くことが出来なっ方からこそ、せめてもの声援を送る。
その声援には、夢物語だと分かっていても、自分達が無事に帰って来て欲しいという願いが込められているのが分かり、
「……嬉しい限りですね」
「きっと、みんなの声援が私達を加護してくれるはずです」
闇から闇へと紛れる礼人にとっては、喜ばしい光景であったが、
(やっぱりか……)
一つだけ気になる事があった。
最初のコメントを投稿しよう!