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まさか、この場面でドワーフとオークの女性だけ見送りに来ない等無いだろう。
街を散歩していた時から違和感を感じ、この出立の土壇場で確信になる。
ドワーフとオークの女性という人種は存在しない。
(だとしたら……男性として生まれる時はドワーフかオーク、女性として生まれる時はサキュバスとしてというのが、決まっているのか)
その原理はどうなっているのか?
生命の神秘というには、あまりにも不自然な物を感じるが、
(今は関係無いよな……)
この不気味とも言える現象に、作為的な何かを感じても、少なくとも今回の戦場に何かしらの影響を与える事は無いはず。
後頭部を籠の壁に擦り付けて、
「私の世界とは違う文化に…驚いてしまって……」
余計な事に囚われている頭を正常に戻そうとするのであった。
________
「フレンさん。お久しぶりですね」
「えぇ、本来なら街同士での交流は固く禁じられていますからね」
滞り無く拠点に着いたフレン達は、真っ先に会議室へと向かい、拠点の防衛を命じられている責任者に会いに来た。
責任者と言っても、他の街から派遣された者であり、戦争をする時でなければ貴族は来たりしないので、代表者は彼になるのだが、
「貴族の方々は?」
「いや、今回は私が将軍として指揮を任されたから、貴族の方々は来ないらしい」
「そんな事があるのか」
これから、拠点を落としに行くというのに、貴族の連中が来ないのは異例中の異例で、貴族が来ないという事に驚きを隠せずにいる。
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