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「何があったんだ?」
「それはだな、ビレー……」
フレンはここで、ビレーに話を振って前回の迎撃の時の話を始めさせる。
一度は敗北を喫して、鉄騎兵から敗走していた兵士達を、アフレクションネクロマンサー様が守り抜き、その時に、鉄騎兵を吸収した化け物を始末した事を。
「なるほどな……向こうの状況も芳(かんば)しくないという事か」
その話の通りなら、向こうは拠点を制圧するのを失敗し、想定以上の鉄騎兵を無くしているはず……
「そっちの兵士達に苦労させることになってしまうのは分かっているが、それでも無理をしたい。間違い無くチャンスなんだ」
「そうだよな……」
拠点の奪還というのは、通常の平地での戦闘よりも危険を伴う。
拠点という物資が揃い、確固たる場所を確保出来る優位性。
もっと分かりやすく説明すれば、道端でスズメバチに襲われるのと、スズメバチの巣の前で襲われるのではどちらが良いかという話。
道端で数十匹のスズメバチに襲われるのもたまったものでは無いが、巣から無数に襲い掛かれる状況よりかはマシ。
攻城戦を仕掛けるには、自分達の戦力が倍以上は無ければ無謀と言えるが、今回は事情が違う。
今の話が本当なら、敵の巣穴には働きバチがほとんど残っておらず、千載一遇のチャンスであり、
「この子が、アフレクションネクロマンサー様……」
その働きバチを徹底的に始末をしてくれる英雄、アフレクションネクロマンサー様も同行してくれる事になる。
確かに容姿と服装は、子守歌のように聞かされて来たアフレクションネクロマンサー様そのものであるが、
(こんな幼い子が、アフレクションネクロマンサー様……)
内心では、そんな夢物語のような人物が、自分の目の前にいるとはニワカには信じがたい。
フレンが謀っているとは思えないし、そもそも本国からの通達で拠点には攻めに行かなければならない状況。
もし、自分の事を欺くためにしているとしたら、
「こんな子供が、アフレクションネクロマンサー何て言われても、不安ですよね」
「いえ、そんな事は……」
自分達の士気を上げるために、欺いてるのかもしれない。
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