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あれを創り出せたのはリミィがいたから、出来損ないの人魚はリミィの遺作で、簡単に出くわさない……っという事でなければ、困った話になってしまう。
出来損ないの人魚は、沢山の魂達の生命力を借りて、何とか退けた相手。
もし、もう一度、あれと出会ったら同じ事をしなければならない……
(また…みんなの命を吸う訳にはいかない)
また、みんなに自分を信じて貰い、また同じように命を吸って戦う行為を……
そんなことは決して望んでいないいし、弱点が分かっているから、前回ほどの魂達の生命力をかき集める必要は無いだろうが、それでも魂達の協力は不可欠である。
自分が裏で糸を引いている訳でも無いし、仲間を守るためであり、決して騙している訳ではないが、笑顔を絶やさずに会話を弾ませてるいる彼等に、悲痛な叫び声を上げさせ、絶望の渦に巻き込ませたくない。
その考えが戦場では、はかない夢のように脆く、いくつものクリームを挟み込んだミルクレープのように甘い考えだと分かっていても、せめて今だけは、自分を通して心安らかに夢を見ていて貰いたいと願う。
そうして、礼人の願いが通じたのか、出来損ないの人魚とは遭遇することなく、所々で現れる鉄騎兵を始末しながら、
「お疲れ様です」
「ありがとう」
出番が無い時は籠に戻り、リーフから水が入ったコップを受け取っていた。
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