異世界の世界

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しかし、今回は全く話が違う。 礼人が気を張っているお陰で、鉄騎兵という雨雲がみんなの頭上に降り注ぐ前に振り払って快晴にし、誰一人の気持ちを曇らせる事無く歩を進める事が出来ている。 いつもなら、数日掛けて侵攻する所を、 「ここで、昼食を取ろう」 朝に一回、昼に一回と休息を取りながら進んでいても、お釣りが出る程、そのお釣りが物資の消費を抑えてくれている。 とはいえ、お釣りが出ているからと言って湯水のごとく贅沢は出来ないが、礼人がコップ一杯の水を飲むのは許される。 彼が外に出て休息の指示を出すと、その場で腰を下ろして談笑に興じる者に、昼食の準備を始める者、そして不意の襲撃に対して備える者と様々だが、それでも共通しているのはピクニックにでも来たかのように、みんなが和気あいあいとし始めると、 (平和だな……) これから猛攻必死の、拠点攻めをしようとしているとは状況に思えない状況に、無事に全てが終われば良いと思いながら、みんなの楽しそうな雰囲気を味わう。 願った通りの平和の時間を過ごし、 「さぁ!!出発だ!!」 「「おぉ!!!!」」 勇ましい号令に、心軽やかに返事をすると再び進行が始まる。
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