02

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僕が中学三年になった頃に、変化が訪れた。 変声期が訪れて、骨も前よりゴツゴツして。他の子よりは背は高くならなかったし、声もそんなに低くはならなかったけれど。それでも男になった。僕をまるで妹みたいに可愛がってくれる真那がどう思っているのか、僕は怖かった。 真那が学校から帰ってくる前に真那の部屋に忍び込んで、彼女の服を着て。真那のポーチから口紅を取り出して唇に引いた。…やっぱり前みたいに可愛くない。少し前まで、真那は僕をお人形のように着せ替えしてくれたのに。今はしなくなってしまった。僕が可愛くない男になったから? 「湊、何してるの」 大学から帰って来た真那が、僕を見つめていた。いつもと変わらない、優しい笑顔で。無性に悲しくなって、苦しくなって。僕は真那に抱きついた。 「真那…真那…」 「湊は可愛いね。私の湊は可愛い」 「僕、まだ可愛い…?」 「うん、可愛い。湊が世界で一番可愛い」 そういって真那は僕を抱き締めてくれた。髪から香る知らない匂い。それだけで僕がどれだけ嫉妬しているか、真那は知らない。真那にとって僕は可愛い血の繋がらない弟、その領域は出ないのだろうか。それでも今一番真那の傍に居られるのは僕だと、真那の背中に回す腕に力を込めた。 中学生の弟に、抱き締めれて胸に顔を埋められても嫌な顔一つしない。 僕が真那を好きなのは、きっと、絶対、真那の所為でもあると思う。 許されているなら、僕は遠慮しない。真那の柔らかい胸で、顔をグリグリと擦り付けた。甘えてるだけだと思って、真那は背中を撫でている。僕にはこんなにも下心しかないっていうのに。
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