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働きに来ていた人の状況を他の村人達に言うと、揃いも揃って、同情し、悲しみに暮れました。
その片方を共に弔ってやろうと思った村人達はそれぞれ花を持ち、あのお寺へと訪れました。
中から泣き声は聞こえず、静かでした。
早まったか、と村人達は急いで扉を開けると血生臭さが鼻を掠めたと同時に、その元凶を見て、言葉を失いました。
なんと、片方が屍肉を喰らっているのです。
クチャクチャと生々しい音も聞こえてきます。
村人達は、悲鳴を上げて一目散に逃げたり、中にはその場で倒れてしまう者もいました。
そんなことは全く気にもしてない兄は喰べ終え、血まみれになった口元を拭い、その拭った手を舐めて、口角を上げました。
「これで、"ひとつになった"ね。いつまでも一緒だよ」
これで良かったはず。それなのに、次から次へと涙が溢れていきます。
どうしてなんだろう。
理由が分からず、"鬼"は弟だったものの血の臭いが充満する中、泣き続けていました。
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