その少女は蛇蝎の如く

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「その店はやめておきなされ」 「あ、仙人……じゃなくてさっきのおじいさん」 振り返るとそこには白い髭の。レストランを紹介してくれた仙人さんがいた。 (え?いや、もうめんどくさいから仙人ってことにしたんだよ。私の心の中では) 「先程はどうもです。美味しかったですよ。でー、この店なんでダメなんです?」 「その店の子は。その店の果物はな、呪われているんじゃよ」 「なるほど。わからん。」 「なるほどしとらんじゃろ」 今度は私が突然仙人に声をかけられ、さらには言っている意味がわからない。 強いてわかるのは事情があるということ。 こんな子供に(私も子供だが。)呪われてるなんて、酷いじゃないか。うーむ。気になる 私は理解不能な仙人の声に耳を傾けるべく、ひとまず仙人を連れて別の場所で事情を聞くことにした。 やってきたのは、とある喫茶店。 近くにあったからここにした。お話をするにはもってこいの場所だろ?私、コーヒー好きだし。 「で、お話聞かせて貰えます?」 「コーヒー、奢ってくれるのかのぉ?情報料とでもいっておこうか。ふぇふぇふぇ」 意地悪な仙人だ。 「はいはい。奢ります、奢ります。」 「やったのぉ。」 カフェラテとブレンドコーヒーが私たちの前に置かれた。 「カフェラテ、甘くてあんまり好きじゃないんだよな……」 「そうなのか?わしは甘党でな」 「あ、独り言です独り言。」 「そんなことより、早く話してくださいよ」 「しょうがないのぉ。少し長くなるからの」 「はいはい。どうぞ。」 どうして「はいどうぞ。」なんて言ってしまったのだろうか。あの少女の情報を得るために、とてつもない時間を要した。仙人の、話はとてもめちゃくちゃ長くて、タラタラタラタラタラタラ……と。 軽く1時間は超えていた。長くなる話だとはいえ、ここまで時間がかかるとは思っていなかっし、どうでもいい内容まで入り交じっている。 いや、大半がどうでもいい話だった。 いやぁ、仙人を甘く見ていたようだ。。 まるでカフェラテみたいに。 「以上じゃ。」 「……あ、は、はい。」 「ちゃんと聞いておったか?」 「もちろん。」(大事なところだけ) 「ならば良い。そろそろ。わしはお暇させてもらうわい。また奢ってくれ」 「いやです。ありがとうございました。」 仙人は帰った。少しガッカリそうに去っていった。 だが、知りたいことは知れた。なるほどなるほど。そういう事だったのか。
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