不均衡なわたしたち

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今日のわたしは、いつもより化粧を控え、眼鏡ではなくコンタクトレンズを装用している。 普段なら毛先までしっかりブローしている髪を無造作にひとまとめにし、GAPのオンラインセールで買ったレーヨンのワンピースを着、少し迷って毛羽立ちの目立つg.u.の上下に着替えた。 1DKの部屋を小ざっぱりと片付けて、でもあえて生活感をあふれさせたまま、彼女の到着を待つ。 約束の3時をきっかり15分過ぎてから、彼女はわたしの部屋のチャイムを鳴らす。 いつものことながら、緊張と不快感、わずかな高揚が胃の奥からせり上がってくる。 内側からドアを押し開けると、いつものように髪をくるりと内巻きにし、CHANELの香水を漂わせ、駅前のケーキ屋の箱を下げて、美琴(みこと)は立っている。 「ごめーん、ちょっと遅れちゃったあ」 と微笑みながら。
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