花に囲まれて

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花に囲まれて

とても愛していた友達が亡くなった。 まだ年若い、少女と呼べる年だった。 彼氏を作るよりも、友達と遊んでいたい。 そう言って、彼女は笑っていた。 病院でお見舞いをした時には、まだ話せていた友達だ。 今度あそこ行って何が食べたい、何がしたいと、明るく話していた友達だ。 葬儀で見た彼女の姿は白い死装束に花に埋もれた姿だ。 死に化粧で頬も口紅も、友達が欲しがっていたジルスチュアートの新商品だ。 眉もふんわり、アイシャドウは控えめに。 メイクなんてろくにしたことないのかったのにね、と悔しくなる。 穏やかで、今にも目覚めてきそうな彼女の姿は、キスをすれば白雪姫のように起きてきそうだ。 彼女の親はずっと泣いていた。 同い年の私がこうして生きているのに彼女は亡くなった。 うちの子がなんで? なんで死ななきゃいけないの? 他の子じゃなくて? そう思っているに違いない。 私だって、そう思っている。 白い死装束で花に埋もれた彼女の姿は、花嫁衣装のようでとても綺麗で、私は思わず泣いていた。
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