姥捨て山

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 僕の家から車で一時間の場所にちょっとした登山が出来る山がある。トンボが生息する場所があったり、ちょっとわき道に逸れればアケビがなっていたりする。僕は秋にこの山に登るのが好きだ。だが僕は高校二年生で車が運転できない。だからお母さんが車を運転して連れて行ってくれる。いつも二人で登る。そんなに険しい山ではないので年配の夫婦とすれ違ったり、小さな子供を連れた大人の人と出会ったりする。  今日は九月の半ば。山の天気は清々しい。まだ秋口なので暑いから半袖でちょうどいい。僕は白いTシャツにジャージを穿いて山道を歩く。お母さんも似たような服装だ。  朝の八時に家を出て来たので登り始めたのは九時過ぎだ。もう山を降りてきている人がいて挨拶を交わした。 「おはようございます」 「おはようございます」  僕は笑顔で挨拶を交わすと歩を進めた。低い山といっても坂道は苦しい。だんだんと太ももにきいてくる。僕は運動部で鍛えているからいいけどお母さんは大丈夫だろうか。 「お母さん、休憩いれる?」 「そうね、あの木の根に少し座りましょう。水分補給もしたいし」  僕たちは土から太い根をうねうねと出している木の下に腰かけた。リュックからペットボトルのお茶を出す。そよ風が吹いているが生暖かい。僕は半分も登ってないのにTシャツの首元が汗で濡れていた。
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