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ああ、よかった。
バージンロードに続く扉が開くのを見て、女は胸を撫で下ろした。
ここまでくれば、あとはもう少し。
この家に引き取られて23年。
幼いながら本気でお兄ちゃんのお嫁さんになると宣言してから17年。
自分が養女なのだと知って半年。
ならば遠慮はいらないと妹の殻を破った彼女は、今日この日に17年越しの夢を叶える。
好きになってはいけない人を好きになってしまったと、一時は荒んでいたけれど、今はもう彼一筋だ。
ただ唯一の誤算は、その荒んでいた時の名残が彼女の腹の中に息づいていること。
いろんな選択肢を考えたけれど、このまま彼の子だとして産んでしまった方がリスクは少ないと考えた。
大丈夫。身代わりにしていただけあって、男たちの顔は彼に似ていたし、血液型も同じ人を選んでいたのだから。
後はこの後のハネムーンで、二人の愛の結晶を授かったことにすればいい。
その為には早く結婚しなくてはいけなかったけど、彼女の「お兄ちゃんと本当の家族になりたい」という言葉を、彼は素直に受け入れてくれた。
彼女には、彼がそう言えば頷いてくれると分かっていたし、そんな単純で優しい男だからこそ、愛したのだ。
女は父の手をとり、バージンロードを歩き始める。
ああ、よかった。
夢だった、お兄ちゃんのお嫁さんになれて――
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