一、

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集落の者から大体の経緯を聞ひた大木翁は、取る物も取り敢へず 与作の家へと向かつた。 到着した時には丁度、猟師の傷を覆つてゐた手拭ひが外されたところだつた。 傷口を一目見た大木翁は、その余りの酷さに目を覆ひたくなつたと云ふ。 腕の肉の一部は引き千切られて了つてゐた。 碌に消毒もせずに長時間放置されて居つた為に、傷口は完全に膿んで居り、 完全に止血できて居らぬ為か、血が少しづつ流れ出てゐた。 表面は血と膿が混ざり合つて凄まじい様相を呈して居り、家中に鼻を抓みたく なるやうな悪臭が漂つてゐた。 其れでも目を背ける訳にはいかなかつた翁が、意を決して傷に相対した時、 其の傷の異様に大きひ事に、気が付ひたのである。
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