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数日前に山の深奥部、「長者が淵」で一人の猟師が何者かに襲撃された事。
其の猟師を襲撃した者の正体については不明であり、「不気味に大きく
黒々とした獣だつた」と云ふ猟師の証言の他、其の正体を推察する助け
となるものは何も無ひと云ふ事を語り、其の獣が唯だに一猟師を襲撃する
のみならず、集落をもまた襲撃して来る可能性がある事も語つた。其の上で
翁は、集落の猟師の頭領格として猟師達を束ね、獣から集落を守るのに
協力してくれるやう、勘助に頼み込んだのである。
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