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さうして日も暮れた頃、翁の家に、勘助を中心とする五人の猟師が
集まつてゐた。孰れも自他共に熟練と認める者達ばかりである。
彼らは山の深奥に赴ひて、一猟師を襲撃した獣の正体を探ると云ふ使命を
帯びて居る。出発の日時は翌日の朝とも決まつてゐた。
其れ故皆、準備に余念が無ひ。
手持ちの銃の動作確認を行ひ、弾薬の類に異常が無ひか確認し、糧秣や
薬品の用意をする。次ひで山に入つてからの行程の確認を行ひ、
如何様にして正体の解明に当たるかを相談する。
今回集められた者達は皆、山を良く知り獣を良く知る者なれど、此やうの
任務を与へられるのは初めての事だつた。
其れ故か、どの猟師の表情にも多かれ少なかれ緊張の色が浮かんでゐた。
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