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硬直した僕に、神様は続ける。
『全てを見せろ。つまらぬ事を、隠すな!』
突如として、僕の中に、塞いだ筈の感情が込み上げた。それに身を委ねると、自然と口が言葉を紡ぎ出す。
「僕は、昔から何をやっても駄目な人間だった……」
僕は無意識に言葉を続けていた。
「必死になっても、上手く行かない事ばかりで。周りに取り残されて行くのが怖かった僕は、いつしかそれを誤魔化す為に、必死な人を馬鹿にして来たんです。無駄な事って、自分に言い聞かせて来たんです……」
『それだけか?』
自分の心が悲鳴を上げている。もう限界だ。これ以上は、もう抑えられない。
『隠し事は、それだけか?』
「でも僕は……。僕は、本当は寂しかったんです」
『なるほど。お前の心、受け止めた……』
神様の唸り声を最後に、僕を包む暗闇は消え去った。
夜風に吹かれて、鈴がチリンと鳴った──。
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