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気が付くと、僕は神輿の紐に手を伸ばし、それを激しく揺らしていた。鈴が大きな音を立てると、誰かが「待てぇ! まだ早い!」と叫ぶ。
それでも僕は鈴を掻き鳴らした。その音が響く度、体が熱くなる。羽交い締めにされても、振り解こうと、必死にもがく。
この祭りは、荒ぶる神が、暴れて唸る。
馬鹿みたいだと思っていた。そして、今でもその気持ちは変わらない──。
でも残念だ。これはきっと、神様のせいだ。暴れたい衝動が『俺』の全身を駆け巡る。
残念だ。今宵、俺は馬鹿みたいに暴れて叫ぶ。『俺』はもう、さっきまでの『僕』じゃない。
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