紅の涙

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くるり ひらり (くれない)が舞い落ちる あの古都の秋の夕暮れ あなたとふたり訪れた それは密やかな溜め息 しどけない姿であなたに 衣摺れの音さえたてず 生まれたままに抱かれた あの古都の秋の夕暮れ もはや戻り得ぬ家のない ふたりの躰は何処までも 限りなく深い淵の底へと 唯、落ちに堕ちてゆくだけ くるり ひらり 紅が舞い落ちた ひとすじの涙を忍ばせて……
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