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そうして移動していったのちについたのは屋敷の裏側にある庭園だった。
庭園には無数の花々が咲き誇っており、とても鮮やかに地面を彩っていた。
庭園の中心には白いガゼボが置かれており、γさんがガゼボの脇に座ったのを見て、私は遠慮がちに少し距離を開けてその隣に腰を下ろした。
ガゼボの中は天井がステンドグラスのようになっているせいか、とても明るく、γさんの顔がよく見えた。無表情は変わらないけど。
どうしてここに来たのかはわからない。それに、γさんが何か話す気配もない。
沈黙の続くこの状況をどうすればよいか考えていると、隣から視線を感じて私はそれを辿る。
そうすれば当然行き着くのはγさんの綺麗な紫色の瞳で、私は最初に会った時と同様に彼から目線を外すことができなくなった。
けれど初対面の時のようなおかしな感覚はない。ただただ目が離せないだけ。
お互いに見つめ合ってしばらく経った頃、γさんの口がゆっくりと開かれた。
「どうして何も聞かないの」
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