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γさんはJUDGEさんへの忠誠心が本当に強いんだ。少し強すぎるような気もするけど……。
そんなことを思っていると、すぐそばから鳥の鳴き声が聞こえて私は視線を落とした。
声の主は私たちが腰を掛けているガゼボの縁に置かれたγさん手の指先を呼びかけるようにつつく愛らしい小鳥だったようで、γさんもその小鳥を見つめていた。
しかし、私の耳には先程とは別の鳥の鳴き声が届いていた。
それも1匹ではない。10数匹もの鳴き声だ。
それもそのはず。話をしていた数分でγさんの周りにはたくさんの小鳥が集まってきていた。
よく見れば足元にはカラスやネズミなどの見知った生き物もいる。
γさんに動物が群がるという物凄い光景を前に私は口を開いたまま固まった。
「が、γさん、生き物に好かれやすいんですね」
そうは言ってみたものの、きっと相槌に近い短く素っ気ない返事が返ってくるのだろうと思って彼を見る。
「……俺を好んで近づいているわけでもなければ、こいつらの意思なんかでもないけど」
しかし、予想とは異なる彼の反応にじわりと胸に何か複雑な気持ちが滲んだ。
目を細めて寄ってきた動物を見つめるその表情はあまりにも悲しげで私は目を見開いた。
こんな状況なのに、私はそんな彼の表情がどうしようもなく魅力的に感じた。
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