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JUDGE32:初仕事
時計の針が20時を示した頃、JUDGEさんから依頼が来たと呼ばれ、私たちはγさんの運転する車に揺られていた。
「下級の悪魔が冥界から脱走、ですか」
私はJUDGEさんから渡された依頼書を読みながらそう呟いた。
「ああ、今回は下級悪魔50体を対処する依頼だ。そう難しい依頼内容ではないが、現地到着後、俺は単独行動をすることになっている。ζはγから離れないようにしろ」
「わかりました。そういえば、依頼者の方はどちらに?」
「……既に亡くなっている」
既に亡くなっている?
どういうこと?
疑問を解消しようと考えれば考えるほど嫌な想像ばかりよぎってしまう。
そんな私の姿を見てJUDGEさんは息をついた。
「お前が考えているようなことは何一つない。ただ、今回の依頼者が死人であったというだけだ」
「し、死人⁉ 亡くなった人でも依頼できるんですか⁉」
そんなことがあるのかと愕然としていると、JUDGEさんは私の手からするりと依頼書を抜き取ると、それを裏返していつの間にか彼の手の中に収まっている黒いペンで何かを書き始めた。
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