BLACK JUDGE

JUDGE１：BLACKJUDGE

……あれで良かったのだろうか。

　私は昨日、家の近くの神社から黒いリボンを見つけて持ち帰り、ベランダのパイプ管に括り付けたことを思い出し、深いため息をついた。

"BLACK JUDGE(ブラック ジャッジ)"

"黒い裁判官"

　噂では難事件を幾度も解決してきた名探偵がやっている探偵事務所だとか。
というか、黒い裁判官なのに探偵事務所なんだ……。

　けれど実際、BLACK JUDGE(ブラック ジャッジ)に依頼したという話も、その名探偵とやらに会ったという話も一度も聞いたことがない。

　私も正直その噂を信じているわけではない。
　それでもBLACK JUDGE(ブラック ジャッジ)に依頼しようと思ったのは私自身、限界を迎えていたからだ。

　本当は普通の探偵事務所に依頼したかった。
　しかし、まだ高校生でバイトもしていない私には依頼するためのお金なんて一銭もない。

　その点BLACK JUDGE(ブラック ジャッジ)は無償で依頼を引き受けてくれるとか。
　つまり、そこしか頼る場所がなかったのだ。

　それでもBLACK JUDGE(ブラック ジャッジ)なんて馬鹿らしいとは思う。

　いや、正確には思っていた。
　自身の目の前に、黒い車が停まるまでは。