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JUDGE3:相沢春香
その後、私は、先程の玄関から少し歩いたところにある一室に通された。
JUDGE《ジャッジ》さんは手で部屋の中央に置かれているソファに座るように促すと、私の対面にあるソファに腰を下ろした。
そしてタイミング良く、使用人のような黒い燕尾服を身にまとった若い男性が、私とJUDGEさんの前にティーカップを置くと、小さくお辞儀をしてから部屋を出ていった。
何だかこのお屋敷はどこも真っ黒だな……。
「さて、君の話を聞かせてくれるか?」
JUDGEさんはカップに一度口をつけてから静かな声でそう言った。
「あ、はい!」
私はゆっくりと話し始めた。
「――始まりは、十日くらい前です」
あの悲惨な出来事を、一つ一つ思い出しながら。
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