JUDGE30:γ

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 少し青みがかった黒い髪に私を見下ろす切れ長で紫色の瞳。  無表情だけど、艶やかな雰囲気がある。  すごく綺麗な人だ。  いや、綺麗とは少し違う気がする。  もっと独特な魅力。  ドクリと胸が嫌な音を立てる。  じわじわと頭の熱が上がるような感覚がする。  ああ、そうだ。自己紹介をしなくちゃ。  そう思って口を開く。 「あ……私、相沢春香で……ζ(ゼータ)として、ここで……」  なんだか、おかしい。  思考がまとまらない。変だ、おかしい。  そうは思っても目の前の男性から目を離すことはできなかった。  ずっと見つめ合っていたい。そんな気持ちが私の全てを支配していく。  そんな中ふと気が付いた。  そういえば、最初に見たときの彼の瞳は紫色だったのに、今は少し、黄色がかっている気がする。
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