JUDGE30:γ

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 ぼーとする私の思考をクリアにしたのはJUDGE(ジャッジ)さんの手を叩く音だった。 「γ(ガンマ)をするならば俺はお前に力を使わなくてはならなくなる」  いつもより低いJUDGE(ジャッジ)さんの声がまだ熱のこもった頭の中で響く。  その言葉に男性は、こくりと頷くだけだった。    そういえば私、今何を考えていたんだっけ。  何が起きたのかもわからないのに凄まじい感情に飲み込まれていく感覚だけが残っている。  まるで自分が自分ではなくなっていくような──。    ぞわりとした身体を抱きしめ、私はそれ以上考えないように深く息をついた。  私は気を取り直してといった感じで「ζ(ゼータ)です。よろしくお願いします」と男性に向かって手を差し出した。  けれど男性は私の手を見るだけで、動こうとも喋ろうともしない。  不思議に思っていると、それを見ていたJUDGE(ジャッジ)さんがため息をついた。 「γ(ガンマ)、自己紹介をしろ。丁重にな」 「俺はCARRIER(キャリア―)γ(ガンマ)。よろしく」  そう言ってγ(ガンマ)さんは私の手を握った。
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