武器じゃないの不器なの

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 初めてのデート、行き先は映画館。  あからさまなラブロマンスじゃなく、吊り橋効果を狙ったホラーでもなく、無難なアクション映画を選んだのがあなたらしい。  それでも激しい銃撃戦や爆発シーンの音の大きさに驚いて思わず小さな声を上げてしまった時、ひじ掛けの上の手に自分のそれを重ねてくれたから、私はその後お話は入って来なかった。  明るくなって、大画面を見ていたせいでなんだか小さく見えるあなたは少し心配そうに言った。 「泣いているの? 」  私の頬には涙の筋でもついていたのかしら。 「ううん、びっくりしちゃっただけ」
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