武器じゃないの不器なの

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 二人で選んでおいたお店での食事。  砂浜の見える海沿いのオープンテラスは風も心地良くて自然と笑顔になってしまうの。  さっき見た映画の話をしながらお料理を待つ時も、せっかく二人で選んだお店だったのに、嘘偽りなくそのお料理をこき下ろすのも、私にはとっても心地良い時間なの。  ああ、今あなたは嘘偽りない気持ちでわたしの前に居てくれるんだって。  私に申し訳なさそうに料理を口にしたり、それでも紅茶だけは気に入って満足そうに堪能していたり。そしてその瞳に私を真っすぐ映してくれたり。  味なんでどうでも良いのよ。あなたと一緒ならみんな美味しく感じるんだから。 「泣いているの? 」  目が濡れてしまっていたのかしら。 「ううん、海風に砂が乗って来たの」
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