武器じゃないの不器なの

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 食事の後の水族館。  大きな水槽の漏らす光に照らされて、あなたの姿はあまりに幻想的で、この世の者じゃないように思えた。  ちょっとだけ怖くなった私は恐れからか勇気を出してかそっと手を握る。  あなたは少しだけ驚いて私を見て、そうやっていつも通り微笑んで、応えるように握り返してくれた。  その手の体温がこの場にあなたが居る事を実感させてくれて、それがもっと欲しくなって、私はそっと身を寄せたの。 「泣いているの? 」  こぼれそうだった雫をぬぐって私はかぶりを振った。 「水槽の光ばっかり見ていたから、目が痛いの」
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