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「だろ? 夜どうせ会うけど、昼も会えるなら会いたいだろ? 喋りたいだろ? もう教室で好きって言っちゃえよ。夏祭りを恋人同士として見に行けよ。一つのかき氷を二人で食べろ。もし、フラれたら俺が一緒に食べてやるから」
「なにが悲しくて野郎二人でかき氷をシェアしなきゃいけないんだよ」
「違うよ。俺が遥香ちゃんと食べるんだよ」
「もしそうなったら泣きながらお前をグーで殴るからな」
「そうならないように願ってるよ。俺も殴られたくないから」
孝介がやっと離れた。日差しにまとわりつくようにセミが鳴いている。流れ出る汗を首に巻いたタオルでぬぐった。
「ちゃんと告白しろよ」
孝介が思いっきり肩を叩いてきた。
「わかってるよ。それよりも頼むぞ」
「任せろ。お前がかき氷食べたいなって言ったら、買いにいくふりしてどっか行けばいいんだろ?」
「うん。申し訳ないけど、そうしてくれ」
「花火終わったころに戻ってくるよ。道に迷ったとか言って」
「悪いな」
「そう思うなら、きっちり告白しろよ」
僕は深く頷いた。
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