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「わかった。悠平はどうする?」
「俺もそれでいいよ」
「じゃあ、行きますか」
孝介が歩き出した。後ろを遥香と並んで歩く。この日のために買ったジーパンのポケットに入れっぱなしにしていた手を出しかけて、また戻す。右の頬がとても熱い。喉が渇いて仕方がなかった。
首筋の汗が気持ち悪い。臭っていないだろうかと不安になる。僕はジーパンと一緒に購入したデニムのショルダーバックから無香料の汗拭きシートを取り出して首筋をぬぐった。
「着いたらまずなに食べる?」」
右目の端にわずかに映る遥香が訊いてきた。
「どうしようかな。祭りってなに食っても美味く感じるからなー」
「わかる。焼きそばとかめっちゃおいしいもんね」
「だよな。たこ焼きも捨てがたいけど」
「おいしいよね」
そこで会話が途切れた。なにか言おうと言葉を探したが見つからないまま、祭り会場へ到着してしまった。
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