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塚田(2)
ごった返す人込みの中、何人かの生徒を見つけた。話しかけてくる者たちもいれば、気づかれていないと思っているのか指をさして笑っている者たちもいた。名前がわからない虫の鳴き声と祭囃子聞こえてくる。金魚すくいの屋台で幼い子どもがはしゃいでいる。虹を溶かしたみたいな色の綿菓子を持った大学生らしきカップルとすれ違う。
夜風が頬を撫でた。タバコが吸いたくて仕方ないが堪える。ビールを売っている屋台が目にはいった。並んでいる客のなかに生徒がいないか探しながら生唾を飲み込む。焼きそばを焼いている音が背中を押してくる。塚田は一歩足を踏み出し、屋台に背を向けて歩きだした。
帰ったら酒を飲もう。冷蔵庫の中に確か酎ハイがあるはずだ。つまみは家にあるコンビーフにしよう。腕時計に目をやる。花火の時間まであとわずかだ。塚田は会場である広場へ向かった。
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