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隠し事
「そんなに怯えなくても大丈夫よ。ここには主人の他にも何人か埋まってるはずだから」
「え――」
「正直、何人かは覚えてないんだけど」
私の告白に、スマホを放り出し慌てて逃げ出そうとしたスタッフさん。
でも荷物に足元を取られて思う様に身動きが取れないみたい。
少しずつ、吸い込まれるように荷物の中へと飲み込まれて行く。
だってねぇ? この荷物たち、一体何人の魂を吸い込んできと思う?
「た……たすけ――」
空を掴むようにもがいていた手も、ついに荷物の中に埋もれて行った。
私はそれを見届けると、手にしていた頭蓋骨をそっと置き、両手を合わせる。
「すいません、あれ、うちのスタッフどこ行きました? ――うわっ!」
背後から声をかけてきたもう一人のスタッフが声を上げた。
どうやら主人を見つけたみたい。
……また隠し事が増えそうね。
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