故障か劣化か成長か

3/10
前へ
/143ページ
次へ
「まぁ。美味しそうなクッキー。どうもありがとう。外はもう暗いのに、このまま帰すのは心配だわね。ねぇ、少し時間ある? 小椋くんのママに渡してもらいたいものがあるの。中でちょっと待っててくれない? 帰りはパパが送るから」  そう言ってケントを家の中にあげた。ミクの顔を見るなりチョンと頭を下げ、リビングへ足を伸ばすと壁や窓がクリスマス仕様になっていて、テーブルの上の豪華なご馳走に驚いた。 「わぁ。凄いなぁ」   ママは作ったマフィンを1つ1つ絵柄の入った袋に入れ、ケントへ渡す準備をしている。 「あの。パパさんは?」 「あら。部屋じゃない? またいつものDVD観てるんじゃないかしら。行ってみたら? ミク。ケントくんをパパの部屋に連れて行ってあげて」  2人がパパの部屋に行ってみると、案の定DVDを観ていた。パパの横にビーワンも。 「調子に乗りやがって〜。ええ加減にせえよ。(おのれ)がナンボのもんじゃい」 「残念だな。もうあんたらの時代は()まいなんや」  バ、バ、バ、バキューン!  
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加