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ある日、クラスの翔太郎がミクのそばにやってきた。
「神楽んちって、B級品あるんだって?」
「何よ、急に」
「ちょっと小耳に挟んでさ。俺んちにはB級品なんてないからさ、どういう感じなのか見てみたいんだよね。今度遊びに行ってもいい?」
「えぇーーっ」
翔太郎は性根は悪いやつではないが、口が軽いのが難である。あまり情報を与えたくない人物だ。
「うちは無理だよ。家に誰か連れて来るとお父さんが鬼のように怒るから」
「神楽んちのお父さんってそんな怖いの?」
「そ、そうだよッ! 体は大きくてハァハァ言ってるし、今はリモートとかで家にいて、友達連れて来るなんてとんでもないよッ」
「そっかぁ。じゃあ、やめとくか」
ホッとしたミクはため息をひとつついた。
6時間目の授業が終わると今日は先生方の会議のため、清掃なしの一斉下校となる。
「じゃあ、今日はこれでおしまい。寄り道なんかせずにきちんと帰るんだぞ。いいな」
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