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食べ終わったら、後ろにある食器トレー回収箱に入れる。ごちそうさま! と口には出さず、食器トレーに向かって両手を合わせ、給食のおばさんへの感謝の気持ちを込める。
「ケントー。グラウンド行こうぜ」
廊下に出ると子供たちはたちまち遊びモードに切り替わる。
「おう。サッカーしようぜ。そうだ。神楽もやらねぇか?」
「え? あたし?」
今まで外でたまたま遊ぶことはあっても、サッカーに呼ばれたことは一度もなかった。
「お前、うまいじゃん。この間ひとりでリフティングしてたろ。その辺の男より全然上手いと思うよ」
ーーうぐっ。見ててくれたんだ。
ほんのりと嬉しさが込み上げる。
「別にいいよ」
素っ気なくボソッと答えるとケントはニカッと笑顔を向ける。
「何か今日、その服装さ」
「ん? なに?」
「イチゴみたい」
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