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ケントの言葉はまるで綿アメが舞い降りるように、手を伸ばせば全てが甘かった。ジワンと心だけ溶かされたミク。緩んだ表情のままケントと一緒に階段をズダダダぁっと駆け下りていく。グラウンドに出ると数人の仲間たちが弾けたようにボールを追いかけていた。
「今日は神楽も参加するから、4対4でやろうぜ」
「えぇーっ。俺のチームには女は入れない。ぜってぇ足手まといになるし」
「いいよ。神楽はオレのチームに入れる。あとセナとニレイがいるし、こっちはそれでいい」
今日はなぜか距離がどんどん近くなる。ビーワンが言ったこの洋服のせいかーー? ミクはケントの優しさが嬉しくて一生懸命に走りまわる。秘かに空き地でやっていたドリブルの練習がこんな形で発揮できるなんてーー。ミクは小さな体を伸び伸び使ってサッカーを楽しんだ。
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