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第1話「ペンギン登場」
「やめんか! お前ら!」
放課後の体育館裏で、ペンギン――正確にはペンギンの着ぐるみを着た男――が叫んだ。叫んでしまった。
「な、なにコイツ? チョーうけるんだけど!!」
私を取り囲んでいた女共は、みんな揃って大爆笑。当然だわね。
私は笑わなかった……いえ、笑えなかった。
このとんでもない状況は、一週間前に起きたあの日の出来事がきっかけで生まれた……。
――――
そう、あの「笑うな。おい! 笑うな!」
私の回想に入ってこないでペンギン男!
…………。では、改めて。
そう。あの日……。
私はある男子に告白されたんだ。
告白の主はバスケ部の主将。スポーツ万能で性格もいいイケメン……らしい。
彼の存在は知っていた。でも、特別親しい訳でもなく、会話すらしたこともない相手。
むしろ、私のことを知っていたんだ? って感じ……。
そんな彼が、教室で下校の準備をしている私にいきなり話しかけてきた。
「突然でごめんな。ちょっと体育館裏まで来てくれないか?」
少し警戒するも了承して彼に付いていく。心なしか緊張しているみたい。なんかプルプル震えているもん。卵豆腐みたい。
「ぬわはっ!」
あっ、階段から転げ落ちた……。
…………。
生きてる?
…………。
保健室に連れていかなきゃ……いや、やっぱめんどい。誰か通るまで立っていよう。
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