35人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
プロローグ
あの時、キミがボクを殺してくれていたら、こんな無残な結末を迎える事はなかったのかもしれない。
目の前に広がる赤黒い血の海の真ん中で、キミはボクを見ながらボンヤリと微笑む。
歯並びのいい大きな口も、いつも前髪に隠れただらしない垂れ目も、キミの持つ全てがボクは大好きだったんだ。
ボクの病的な白い肌も、機能しない左眼と右耳も、キミは嫌悪する事なく大事に触れてくれた。
その指先の暖かさを、ボクは死ぬまで忘れない。
だって、キミがボクを殺してくれなかったのだから――。
最初のコメントを投稿しよう!