プロローグ

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プロローグ

 あの時、キミがボクを殺してくれていたら、こんな無残な結末を迎える事はなかったのかもしれない。  目の前に広がる赤黒い血の海の真ん中で、キミはボクを見ながらボンヤリと微笑む。  歯並びのいい大きな口も、いつも前髪に隠れただらしない垂れ目も、キミの持つ全てがボクは大好きだったんだ。  ボクの病的な白い肌も、機能しない左眼と右耳も、キミは嫌悪する事なく大事に触れてくれた。  その指先の暖かさを、ボクは死ぬまで忘れない。  だって、キミがボクを殺してくれなかったのだから――。  
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