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「ふぅ」
定食を食べ終えた俺は爪楊枝で歯と歯の間のカスを取っている時だった。突如店の扉が乱暴に開かれその粗暴に合った男が入ってくる。この行いと姿・格好からヤミ金か暴力団かそこらの類だろう。彼らは店内を見渡してやがて一人の男に目をつける。やはり、というべきかあの気の弱そうな男にだ。
彼らはその男に近寄り、怯えるその男の胸座を掴み、怒鳴った。
「いい加減金返しやがれ!!」
(うるせーな)
内心でそう思いつつも俺はとりあえず俺にはまるで関係のないことだったのでしばらく横目で見ていた。だが、すぐに俺は関わることとなった。それはやつらの服の内側から出したもののせいだ。
「いい加減にしないとこいつが火を噴くことになるぜ」
それは銃だった。一応ながらこの国は銃などの武器の所持こそ禁止されていないが、その所持には許可が必要、もちろん人に向けるなんてご法度だ。客、店員ともに悲鳴を上げるが、俺はそれすらも聞き流していた。俺の今の興味はただひとつ、その銃の方向だった。その銃口の延長線上には…俺がいた。
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