聞いてくれて、耳を傾けてくれてありがとう

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

聞いてくれて、耳を傾けてくれてありがとう

2020年、世界中にコロナウイルスが広がって世の中が騒然とした。 誰も予想だにしなかったことだ。 半年以上経った今も猛威を振るっている。 たくさんの人が亡くなり、今もたくさんの人が苦しんでいる。 しかも、それは遠い世界のことではなく、ごく身近に今も広がっている。 毎日、神棚に手を合わせる。 苦しんでいる人が一日でもはやく回復されますように。 この病がはやく収束しますように。 もう誰も悲しい思いをしませんように。 祈ることしかできない。 無論、手洗い、うがい、アルコール消毒、ソーシャルディスタンスを守る、マスクをするなどもしているが、知識のない私はそのくらいしかできないことがとても歯がゆい。 3月から自粛生活が始まり、学校は休校になり、仕事も自宅でする人が増え、必要最低限しか外に出られなく自宅で過ごす生活が二か月、いや、三か月続いた。 子供たちは、学校が休みになると最初は不謹慎かもしれないが喜んだ。 でも、どこにも出かけることができない長い休みだとわかると段々とストレスがたまり、寄れば触れば兄弟げんかになっていた。 親も同じ。 一日中、家事や育児に追われ、朝に昼に晩に食事を作り、子供たちに休校の間の膨大な宿題を毎日やらせなければならず、運動不足にならないように毎日決まった時間に散歩をさせ、気を緩める場所も時間もなく、段々に疲弊して夫婦喧嘩が増えていく。 そんな毎日だった。 だが、それならまだいい。 医療従事者の方やご家族は、感染された方やご家族は、学校の先生方やご家族は、飲食店やお店や宿泊施設を営まれている方や従業員の方やそのご家族は、コロナで職を失ってしまった方やご家族は、想像を絶するに今も本当に大変だと思う。 自粛生活が解かれても、様々な制限があり、これまでと同じ生活はもう戻らないであろうと思っている人は多いと思う。 コロナ疲れという言葉があるらしい。 自粛生活が終わり、しばらくしてから自粛中の疲れがやってくるというものらしい。 私も、軽いのかもしれないが類に違わずコロナ疲れがやってきた。 もともと更年期障害があり通院しているのだが、この九月までの間に体調不良になることの多かった事。 まず、更年期障害がひどくなり全身が痛くなった。 そして、次に足底筋膜炎がひどくなった。 今も、朝晩と体重をかけると激痛がはしるので、びっこをひきひき歩いている。 さらに八月に、はじめて脱水症状からはじまり、熱中症で救急搬送され、点滴を受け、飲み薬ももらい、回復するのに一週間かかった。 そして、先々週の月曜日より咽頭炎になり、服薬を続けたが悪化し、リンパ節が腫れてしまって耳鼻咽喉科に二週間通い続ける羽目になった。 ようやく今は回復した。 そして、なにより心にも疲れが出て、情緒不安定になり、夫に毎日のように泣いて自分の辛さを訴えた。 夫の仕事は在宅ではできない仕事なので毎日仕事に行き、帰ってくると妻は情緒不安定で泣いてばかりいるので聞いている夫も相当苦痛だったと思う。 毎日泣いてばかりいる私と一緒にいる子供たちも辛かったと思う。 それでもよくならずに、つらかった。 ただ、ただ、毎日がつらかった。 ネガティブな感情に押しつぶされそうで、布団から出ることができず、最低限の家事しかできず、身も心もボロボロだった。 そんなある時、子供たちのかかりつけの小児科の先生の紹介で漢方薬内科を受診することになった。 ひとりで、体中が激痛なのでタクシーに乗り、予約した時間に受診した。 はじめて会った私に、先生は本当によく話を聞いてくれた。 そして理解してくれ、共感してくれた。 丁寧に診察しながら、先生はただひたすら私の話に耳をかたむけて聞いてくれた。 いつのまにか私は泣いていた。 それが嗚咽にかわり号泣してしまった。 他の患者さんも待っておられるお忙しい先生は私に時間をさいてくださった。 そして、診察中に私の携帯が鳴り、心配した父からで、先生は電話をかわって私の状態を説明してくれた。 先生は、始終優しい笑顔でうんうんとうなづきながら話をきいてくれる。 私は、ぴんと張った糸が切れたように涙が止まらなかった。 段々と落ち着いてくると、先生は私にあった薬を処方してくれた。 そして、先生は心配してくださったのかクリニックの入り口まで付き添ってくださった。 私は、感謝でまた泣きそうになりながらも、なんとかお礼を言って頭を下げクリニックを後にした。 おかげさまで、少し心にのしかかった重荷が軽くなったように思う。 それから今も定期的に診て頂いている。 先生には本当に感謝しかない。 紹介をしてくれた小児科の先生にも本当に感謝だ。 もう、今は元気でぴんぴんしていると言いたいところだが、そういうわけにもいかず不調は続いているが少し回復してきている気がする。 それも本当に先生のおかげだと思う。 あの時、先生のクリニックを紹介してもらい、受診して話を聞いてもらい、大泣きしたからこそ、今ここに私の生活があるのだと思う。 まだまだ元気までの道のりは遠いが、今ではできることを少しづつがんばろうと思えるようになった。 私が泣いた理由は、ひとつは心身ともにぼろぼろで本当に辛かったから。ふたつめは、私の辛さに寄り添って理解してくれるお医者さんに出会えたから。です。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!