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「今夜電話したい」 ソファーからはみ出た足先をじっと見てる。スマホを握り占めた手が、妙に汗ばんでいるのは電子機器の放つ熱のせい。 若干緊張してる感も否めないけど。 「・・・だーめ。言っただろ?1つ超えたら次も次もってなし崩しになる」 “ダメ”の前のしばしの間は今日こそは、今夜こそはと大いなる期待を僕に抱かせるには十分なだった。 「ケチ。ケチグソ。ケチタレ」 あー、やっぱダメかってズキズキする諦めの気持ちと、僕の誘惑を鉄の心で跳ね返すあっぱれな態度に、糞がって苛立ちと、あぁーあ、君のこういう頑固なとこに惚れたんだよなとか。正三角形のバランスを保ちつつ僕の脳内で君への気持ちがワーワーと騒ぎ立てる。 というか、数ある僕の要求の中で只の一度ぐらい聞き届けてくれてもいいじゃないか。 突如苛立ち君が大声を上げた。 正三角形の均衡はあっけなく崩れ、くそったれな苛立ち君がムクムクと肥大化する。ムクムク、ニョキニョキと僕の脳内を占めていく。 「ケチとか言うな。俺だって話したい、けど話せば会いたくなる。会えばやりたくなる。お前に触れたもう二度とそこへ返したくなくなる。お前より、俺が歯止めがきかなくなんだよ。止められねぇ自分が簡単に想像つく。だから、な?怒るな」
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