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今度はしっかり飛びそうな意識下で思うこと。 不意の攻撃でかなり噛んだのに、まだ全然僕の舌は正常にくっついていて自分のしぶとさに呆れるしかなないよな、って自嘲。 「まったく汚いガキだ。私はそういうのは好かんのだよ。品の欠片もない、ふんっ、期待していたのに君にはがっかりだ」 あーそっか、自分好みの奴隷君が欲しかったのかって思った。生粋のドMで可愛くて従順な奴隷君。はは、しくったな。そーだよな本物のドS相手にいきなりパクついたら叱られるか。 「申し訳ございませんでしたご主人様」 本当は膝をつく場面だが踏みつけらているので仕方ない。僕は彼を直視しないよう両腕で両目を覆い謝罪の言葉を口にした。 「まぁいい。今日は台無しだ、もう帰りなさい。気が向いたらまた来るとしよう。期待しているんだよ春馬君、君は私の理想になりえる」 スーーっと怒りのボルテージが下がっていく、彼の柔らかい口調が許すと言っている。 喉をロックしていた靴が外され、急激に血液が流れを取り戻す。(せき)を切って流れ出した血液は僕の軟弱な血管を突き破て体内に噴き出してしまいそうだ。隅々にあぶれた血液は行き場を失い僕を醜く膨張させる。パンパンの臨界点を超えたら、目、鼻、耳、肛門に尿道、毛穴からも。穴と言う穴から押し出されるように流れ出てきて赤い赤い血が僕という表面を染めるだろう。 ほら、血液で膨らんだ赤い風船人形の出来上がりだ。針でつついたりしたらダメだよ?弾けとんだ飛沫で君も真っ赤に汚れてしまうから。 「はい」 静かに起き上がり膝をつくと僕は顔を伏せたままこのプレーを続行した。 「君はやはりいい子だな」 頭上で彼が笑ったように感じた。申し分なく今度は完璧に客の想い通りになったのだと確信する。 「ありがとうございます、ご主人様」 男は垂れたままの頭を満足そうにひと撫でし、膝に金を置いた。そして僕の髪を後ろへ撫でつけ耳元でこう言う。"また会いに来るよ"と。
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