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ふんっ。
鼻であしらってやりましたとも。
まったく、とんでもない男だ。人の尻を何だと思ってやがる、脱ぐのはいいんだよ、脱がされるのはゴメンだっつの。だいたい缶ビールをあんなとこに置く馬鹿いますか、水ならともかくビールだぞ、ぶちまけたらどんだけ臭ぇと思ってんだ。ビールはダメ絶対。
「怒んなや。なぁ、春馬ぁ、怒んなよ、綺麗に片付けるからさぁ、なぁなぁ春馬ぁ」
ずる剥けのパンツをグイッとはき、にっくきズボンは脱がずにはいた。静かにまたはいた。下ろすより上げるは俄然スムーズ。
うるさいですよ、負けた気がしているのはこちらなんですから。コイツの成敗を終え、またもやズボンと正面切って向き合う事にいささかの抵抗を覚えたんです、文句ありますか。
「なぁ、すまんて」
それにしても、この圧迫感。男2人が立ち上がるとこの部屋はなんとも狭い。
「ちょっと立たないでください、鬱陶しい。ん?は?今なんつった?」
そして気づく。缶ビールが無残にもラグをビシャビシャにしていることに。缶ビールがです!缶ビールがなんです!!
ありえねぇ。
「なぁ春馬ぁ、まだ?」
「全然まだ。ほらしっかりやれ」
「なぁ、春馬ぁ」
「無駄に体力持ち合わせてるでしょ。ほら、しっかりやれ」
「、、、うす」
バケツは洗車用を持ってこさせ、雑巾とマイペットを両手にゴシゴシ。変な泡がモクモク発生しているが見ないふり。ラグがもげそうな程ガリガリ腰を入れて磨いております。結構です、指の皮が剥けるまで磨くがいい。
自業自得です。
「なぁ、お前さ俺んちこねぇ?」
ややや、何か恐い。
何、どうした。この上なく真面目な顔して僕を見てる。かなり見てる。大層見てる。
見てるが、手元はガシガシに拍車がかかり、もはやバネ壊れましたよねって回転数回して磨きまくってる。
や、そこまでやんなくてもいいんだが。や、見ないで、怖いし。
「行かない、外寒いし、面倒だし、行く必要性ないし」
それから――
またあんたがいない部屋で1人目が醒めるのは嫌だから。絶対口に出したくないけど。
「よし、じゃ行こう。今日から俺と一緒に住もうぜ。一緒にいた方がいいだろ、俺はお前と一緒がいいからな」
パシンと雑巾を放り投げる。意気揚々です。しゃ、話はまとまった!さぁ行こうか冒険に!!そんなニュアンス醸し出てますけど?雑巾がね、まっさらなで清らなソファーに直撃してますけど?ビチャビチャが拡散してますけど?何してくれてんだテメェですけど?
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