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お昼。俺とジェルは提供された食事を部屋で食べながら仕事の話をしていた。三食提供で一泊1名10Gとは、なんとも破格な宿だ。
「おいしいね、しょくじ」
「だろ?草食べるよりよっぽど良いよな」
「うん。ギル、おしごと、どんなの?」
護衛の仕事なので、やや小声で話した。
「ちょっとだけ偉い人が、往復するのを見守る仕事だな」
「おうふく?」
「分かりやすく言うと……行って、帰ってきて、だ」
「とおい?」
「少しな。ジェルは今日より長くお留守番すると思う。出来るか?」
「うん!しょくじ、おいしいから、できる!」
にっこりとスープを口につけながら笑うジェル。
「良かった。大体だけど、朝ごはん食べたら俺が出かけるだろ?そしたらお昼ご飯食べ終わるぐらいの時にはもう戻ってきてるはずだ」
ジェルに分かりやすく説明すると、ジェルはこくこくと頷いてくれた。
「ちょっとえらいひと、なにするの?」
「さぁ。そこまでは知らないんだ、実は」
「みてるのに?」
「見るだけの仕事じゃないけど、詳しくは教えてもらえない。まぁそういうもんさ、護衛って」
確かに、詳細が無いのはやや気になるが、まぁ大した事じゃないだろう。
「ふーん……おかね、どれくらい?」
「一回の往復で300Gだったか」
「それ、おやすい?おたかい?」
「まぁまぁって所かな。7日で充分装備代になるだろ。一週間の契約だし」
「けいやく、たりなかったら、どうする?」
核心を突かれた気がした。確かに、足りない気も少ししていたが……
「でも、ジェル、つよくなるよ。だから、まつ」
「足りなかったら、契約追加してもいいのか?」
「うん、まつよ」
「偉いなジェルは。いい子だ、いい子」
「ジェル、いいこ!えへへ~」
あんなに泣いていたのが嘘のようだった。
「さて、明日からお留守番だぞ。頑張ったジェルには美味しい食事が待ってるから、大丈夫だな?」
「うん!」
「明日から昼頃に帰って来たら、沢山遊んでやるからな」
「うん!」
一週間も持ちこたえられるのか、少々不安ではあったが。元々野生スライムだったのだから、きっと大丈夫だろう。野生なりの方法で、持ちこたえてくれ。父ちゃんも頑張るよ。
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