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しかも、見れば口が開いている袋の数が増えている。どうやら、ポテト、麦チョコ、ビスケット、またポテト、今度はポッキー……、と気分次第でいろいろなものに手を出しているらしい。そして結局、開けた袋を全部食べてしまうまでは終わらないのだろう。
ガサガサ、ぼりぼり、ムシャムシャ、ばくばく、それとバックミュージックのように流れるテレビの雑音、そして時折挟まれる彼女の笑い声。
見るのも嫌になる見苦しさ。
思わずため息を吐こうとしたそのとき、彼女の太い腕がにゅうと伸びて、麦チョコの袋にずぼっと入った。
その光景がまるで、映画を見ていてその部分がアップになったかのように、視界に飛び込んできた。
思わずその腕に視線が釘づけになる。
その腕に繋がる、幾重にも輪ゴムを巻いているかのような肉の線のある太い手首。その先にある、これまた小さな輪ゴムでソーセージをたくさん括り付けたかのような手。
その手が、哀れな、黒く艶々と光る麦チョコたちをぐわしと摑んだ。腕が動き、手が戻っていく。途中でいくつかの粒がぼろぼろと零れるのもお構いなしに。
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