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その翌日。
第一時限目と二限目の休み時間、いつものようにお杏と教室移動をしている時だった。
「神崎……」
守屋君が私の前に立っている。
つ、と視線を遣り、ふいと足早にその場を離れた。
「純!」
お杏が私の背中を追ってくる。
「純、どうしたのよ。一体」
お杏が私の隣に並んだ。心配そうにお杏が声をかける。
「彼と喧嘩でもしたの?」
「喧嘩?」
「そうよ」
『喧嘩』──────
そう言えば、夏休みにお付き合いを始めて、守屋君とこんな風にギクシャクするのは初めてだった。
喧嘩なんてしたくない。したくなかった。
でも、許せない。
あんな風に簡単に自暴自棄になった上。
優等生……神崎委員長……彼の声音が蘇る。
ああ、嫌だ。
こんな風になろうと思ってたわけじゃないのに……。
私はぎゅっと瞳を閉じ、拳を握った。
そんな私をお杏が心配そうに見守っていた。
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