3人が本棚に入れています
本棚に追加
その日一日中、私は授業も上の空だった。
自分の進路、守屋君のこと。
ぐるぐると頭の中を渦巻く。
やっぱり、この受験の大切な時期に『恋』なんて、間違ってたんだろうか……。
今の私には、第一志望の国立大学合格もおぼつかなく、彼の心も掴めない。
無性にイライラする。
そうかと思うと、不意に涙が溢れてくる。
心細くて堪らなくて……。
大学受験も、恋の行方も、さらさらと砂のように私の掌から零れて落ちて行くような気がしていた。
その日の放課後。
いつも私を迎えに来てくれていた守屋君は、教室まで来なかった。
その事実は私に期せずして事の重大さを認識させた。
もう私達、ダメなのかも……。
そう思うと、胸が痛い程ぎゅっと締め付けられる。
こんな。
こんな些細なことでダメになるなんて……。
意地を張った私が悪いの?
でも、あの時の守屋君はどうしても許せなかった。
自分のことも私のことも揶揄したような守屋君が。
そんな複雑な打ちひしがれた思いでとぼとぼと一人、校舎を後にする。
しかし、校門まで来たその時。
最初のコメントを投稿しよう!