ささくれ虫の被害者Iさんの話

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 Iさんは乾燥肌でいつもささくれに悩んでいたそうです。そしてこの方英語がペラペラで、バーで出会う旅行やお仕事で来た外国の人達と話をするのが好きだったそうです、カッコいい。ほら、向こうの人ってハグとか握手とかスキンシップを積極的にとるじゃないですか。Iさんもそれに合わせていたみたいなんです。で、その中にささくれ虫に寄生されてる人が居たらしくて。この虫って主に人と人が接触する事、特に握手をする事で繁殖していくそうです。あと、産卵期と成虫の時に寄生される可能性が高いらしいですよ。じゃあいざ寄生されたらどうなってしまうのでしょうか。  七月上旬、Iさんに起こった最初の異変は右手の薬指、ささくれ近辺の腫れです。あっ膿んじゃったかな…と思って近くの病院に行ったけど、そこのお医者さんには膿んではいないって言われて、様子を見る事になったそうです。そしたら良くなるどころかどんどん腫れが大きくなっていくんですって。これはまずいと思い、Iさんはもっと大きな病院でちゃんと診てもらう事にしたんです。そしたらお医者さんが、 「あー、これはささくれ虫にやられたかなぁ…」 って難しそうな顔して言うんですって。お医者さんのこういう反応って凄く不安になりますよね。だからIさんは恐る恐る聞いたんです。 「あの…手術とかしないといけないんでしょうか?」 お医者さんの返答はこうです。 「うーん、ささくれ虫は最近発見されてね、見た目や習性から恐らくハチ(もく)アリ科じゃないかって言われているんだけど・・寄生された例がまだ少ないから実は治療法が確立されていないんだよね。あと患者によって症状も無症状に近かったり、逆に重かったりして。ただ患部が潰れてなくて良かった」 「そうなんですか……」 「あ、でも無闇矢鱈(むやみやたら)に触ったらだめ、これは絶対!あとこれから人と握手したり触ったりも禁止!ちゃんと注意書きをあとで渡すから。外に出るときも手袋してね」
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